映画中心の日々

本日は国士舘大学21世紀アジア学部(町田キャンパス)で非常勤「生命科学と21世紀社会」だった。お題は再び「ファン・ウソク事件」について。事件の背景にある技術と事件の経緯をおおまかに話し、浮かび上がった論点を整理。学生さんの反応は…ま、いいか。授業が始まる前、事務室の前で、ある男子学生が話しかけてきた。彼は『ガタカ(GATTACA)』を見たらしい。
「先生、あのお医者さん、カッコいいですね。あの人知っていたんでしょ」
「そうだね。あの人はヴィンセントがジェロームを装っていることに気づいていた。確か子どもに障害があることが示唆されるのだが、そのことが関係しているかもしれない」
「あの主人公はあの後どうなっちゃうんですかね?」
「さあ…もしかしたら宇宙旅行には耐えられなくて死んじゃうかもね」
 その学生さんは、リアクションペーパーを提出するときにも話しかけてきた。
「先生、映画好きなんですか?」
「好きですよ」
「最近何見ましたか? 僕は『ものすごくうるさくてありえないほど近い』見ましたよ」
「ほう、僕はそれ見逃しちゃったんだな。僕は先週、『ル・アーヴルの靴みがき』を見たよ。知っている?」
「いえ」
フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキの…」
リアクション・ペーパーをゆっくり書いている学生さんもいたのでそれを待っていると、また彼が話しかけてきた。
「先生はどこで映画見ているのですか? TSUTAYAとかで借りているんですか?」
TSUTAYAで借りることもありますが、劇場でも見ていますよ」
「でもあまり有名でないもの見ていますね」
「そう? ふつうに劇場に行っているだけだけど」
「下北沢とかの?」
「うーん、渋谷とか新宿が多いかな。たとえば僕は毎週月曜にここに来ているけど、途中に新宿があるでしょ」
「映画館に行ってから見るものを決めるのですか?」
「いや、ほんとうに見たいものがあるときは予定を立てるよ。でも月曜日の午後は、武蔵野館、バルト、シネマート、テアトル、ピカデリーあたりを回って、観たいのがあったら観るというパターンが多いかな…」
「先生、『ラバー』っていう映画知っています?」
「知らないな。どんな映画?…」
そんな会話を交わした後に、いつものように新宿でつくつかの映画館をまわったのだが、ちょうどいい時間に観られ、かつ観たい映画なく、そのまま最寄り駅へ戻ってきた。いつものレンタル店に立ち寄ったら、レンタルではなく販売コーナーで、3枚3000円のセールをやっていた。僕は確かに映画好きで、それなりの数を観ていると思うが、もう一度観たいと思う作品はそれほど多くない。いうまでもなく、何度も観て
細部まで味わいたいと思う作品はさらに少ない。そのコーナーには、どれも劇場で観たけど、今度も何度も観たいと思えるものが3枚あったので、購入。隣の某古本チェーン店やアマゾンのマーケットプレイスでは、中古でも2000円代のものを、新品で1枚あたり1000円で買えてしまった。良質の文学や哲学を味わうように、何度も観てみるつもり。


…というわけで、世間ではサイエンスライターだの科学ジャーナリストだのいわれている僕ですが、あいかわらず映画中心の日々を送っています。このままでいいのか?(笑)