『こわれゆく女』

京橋に移動して、いつもの京橋テアトルで『こわれゆく女』(ジョン・カサヴェテス監督)の試写を観る。この初夏、ジョン・カサヴェテス監督の作品を連続上映する「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」というイベントがあるらしく、『こわれゆく女』は、マーティン・スコセッシが関係している団体が復元した「ニュープリント版」ができたらしい。僕はカサヴェテスのことはもちろん知ってはいるが、詳しくはない。今日観た『こわれゆく女』は、精神に不調をきたした妻と、それに翻弄される夫の様子が、淡々と描かれた作品。1975年の作品で、夫を演じているのは、刑事コロンボで知られるピーター・フォーク。ストーリーらしいストーリーはなく、ただ日常を切り取っただけのようにも見えるつくり方は、先日観た『サウダーヂ』(富田克也監督)辺りにも受け継がれているような気がする。雰囲気としては、数カ月前に観た『家族X』(吉田光希監督)に近い。監督はすでに故人で、この映画自体古いものだが、2010年代の日本映画のルーツを見たような気がした。『ラヴ・ストリームス』の試写もあるようなので、ぜひ観てみよう。